第118章脱出の試み

「アンナ、遊んで!」患者のひとりが、懇願するような目で彼女を見上げた。

アンナはため息をつき、額をこすってから立ち上がる。「はいはい、わかったわよ。遊んであげる。ほら、ついてきて」

二人の患者はたちまち顔を輝かせ、笑いながら慌てて立ち上がった。

アンナは施設の奥のほう、壁に穴があったことを思い出した。まだ残っているかはわからないが、確かめる価値はある。彼女は裏庭のほうを指さし、囁いた。「ついてきて。いい? 静かに。物音ひとつ立てないで」

二人の患者は嬉しそうにうなずき、素直に彼女の後ろについてくる。

裏庭に着くと、アンナは記憶の導くまま、壁沿いに目を走らせた。

胸の奥が沈む。穴がな...

ログインして続きを読む